「お墓の石って、どれも同じようなグレーの石に見えるけど、何か違いがあるの?」。
お墓選びを始めると、多くの方がこんな疑問にぶつかります。
こんにちは、終活アドバイザーの田中美智子です。
実は私も、数年前に義父のお墓を建てるまで、石の種類なんて気にしたこともありませんでした。
石材店さんのカタログを見ても、カタカナや難しい漢字の名前が並んでいて、正直ちんぷんかんぷんだったんです。
そこでこの記事では、先日改めて石材店でお話を伺ってきた体験をもとに、お墓で最もよく使われる「御影石(みかげいし)」の種類と特徴を、どこよりも分かりやすく解説します。
お墓選びで後悔しないために、ぜひ知っておいてほしい“石の話”です。
少しだけお付き合いくださいね。
御影石とは?基本をおさらい
まず、「そもそも御影石って何?」という基本からおさらいしましょう。
なんだか難しそうに聞こえますが、ポイントさえ押さえれば大丈夫ですよ。
御影石ってどんな石?
御影石というのは、実は「花崗岩(かこうがん)」という岩石の別名なんです。
昔、神戸の御影という地域で採れた質の良い花崗岩が有名だったので、今では花崗岩全般を「御影石」と呼ぶようになったんですね。
よく見ると、黒や白、透明な粒がキラキラと混ざり合っているのが特徴です。
なぜ墓石に御影石が使われるの?
では、なぜお墓にはこの御影石が圧倒的に多く使われるのでしょうか。
石材店の社長さんによると、主に3つの大きな理由があるそうです。
- 理由1:硬くて丈夫
雨風や直射日光に何十年、何百年とさらされるお墓には、とにかく耐久性が求められます。
御影石は非常に硬い石なので、風化に強く、美しい姿を長く保ってくれるんです。 - 理由2:水を吸いにくい
石は水を吸うと、冬場に凍ってひび割れの原因になったり、変色やコケが生えやすくなったりします。
御影石は水を吸いにくい性質(これを低吸水率と言います)を持っているので、お墓に適しているんですね。 - 理由3:磨くと美しい
御影石は磨き上げることで、深みのある色合いと美しい光沢が出ます。
故人を偲ぶ大切な場所だからこそ、見た目の美しさも重要視されるポイントです。
吸水率・硬さ・見た目が大事な理由
まとめると、お墓の石を選ぶときは、この「硬さ」「吸水率」「見た目」の3つがとても大切な判断基準になります。
特に吸水率は、お墓の寿命に直結する重要なポイントなので、石材店で話を聞くときにはぜひ確認してみてくださいね。
国産御影石の種類と特徴
それでは、具体的にどんな種類の御影石があるのか見ていきましょう。
まずは、品質の高さで定評のある日本の石からです。
代表的なものをいくつかご紹介しますね。
石の種類 | 産地 | 特徴 | 価格帯の目安 |
---|---|---|---|
庵治石(あじいし) | 香川県 | 「斑(ふ)」という独特の模様が美しく、「花崗岩のダイヤモンド」と呼ばれる最高級品。非常に硬く、希少価値が高い。 | 非常に高価 |
大島石(おおしまいし) | 愛媛県 | 青みがかった石肌が上品で「石の貴婦人」と称される。時間が経つほどに色合いが深まる。 | 高価 |
真壁小目石(まかべこめいし) | 茨城県 | 関東で人気の白御影石。上品な色合いで、品質と価格のバランスが良い。 | 中価格帯 |
人気の高い庵治石(香川県)とその魅力
庵治石は、世界で最も高価な墓石材とも言われる特別な石です。
きめ細やかな石肌に浮かぶ、まだら模様の「斑」は、まるで濡れているかのような独特の美しさがあります。
その希少性と美しさから、多くの人が憧れる最高級ブランド石ですね。
希少価値が高い大島石(愛媛県)
西日本で特に人気が高いのが、この大島石です。
青みを帯びたグレーの石肌はとても上品で、時間が経っても色褪せることがなく、むしろ深みを増していくと言われています。
皇室のお墓にも使われている、歴史と信頼のある石なんですよ。
コストパフォーマンスが高い真壁小目石(茨城県)
東日本で広く使われているのが、茨城県産の真壁石です。
中でも「小目(こめ)」は、石の粒子が細かく、品のある白御影石として知られています。
品質が安定していて、価格も国産の中では比較的手頃なため、コストパフォーマンスを重視する方によく選ばれています。
産地で変わる色合いと風合いの違い
この他にも、福島県の「浮金石(うきがねいし)」や佐賀県の「天山石(てんざんせき)」など、日本各地には素晴らしい御影石がたくさんあります。
産地によって色合いや石の模様が全く違うので、見比べてみるだけでも面白いですよ。
外国産御影石の種類と見極めポイント
最近では、外国産の御影石も非常に多く使われています。
「外国産って、安かろう悪かろうなんじゃないの?」と心配される方もいらっしゃいますが、決してそんなことはないんです。
インド産御影石の特徴と注意点
インド産の石は、総じて品質が高いことで知られています。
特に黒御影石の種類が豊富で、硬く、吸水率も低い優れた石が多いのが特徴です。
代表的な「クンナム」という石は、国産の高級石材にも引けを取らない最高級品として扱われています。
中国産御影石の実力とコスト面
現在、日本で使われている墓石の多くは中国産です。
最大の魅力は、やはり価格の手頃さでしょう。
品質は産地や採石場によって様々ですが、日本の石材店が長年の経験から選んだ、安定した品質の石もたくさんあります。
ブラジル産などその他の選択肢
数は少ないですが、ブラジルや南アフリカ、ヨーロッパなどからも個性的な石が輸入されています。
赤や緑といった、国産にはない鮮やかな色合いの石もあり、デザイン性の高いお墓を建てたい方に人気があるそうです。
「外国産=品質が悪い」わけではない理由
なぜ外国産、特に中国産が安いのかというと、人件費や採掘コストが低いことが大きな理由です。
品質が悪いから安い、というわけではないんですね。
大切なのは、産地国で判断するのではなく、一つひとつの石の特性(硬さや吸水率)をきちんと見極めることです。
信頼できる石材店なら、外国産の石についてもメリット・デメリットを正直に説明してくれますよ。
石材店で実際に聞いてきた!選び方とアドバイス
先日、お付き合いのある石材店のベテラン営業さんに、石選びのリアルなところを色々と伺ってきました。
営業さんが教えてくれた、選ぶ人の“傾向”
「最近は、洋型のデザイン墓石が増えたこともあって、インド産の黒い石や、少し赤みがかった石を選ばれる方も増えましたね。
でもやっぱり、ご年配の方は昔ながらの国産の白御影石やグレーの石に安心感を覚えるようです。
故人様のお人柄や、ご家族の想いによって本当に様々ですよ」
とのことでした。
流行りよりも、自分たちの気持ちに合うかどうかが大事なんですね。
よくある勘違い:「高い石=良い石」ではない
これもよくある勘違いなのですが、価格が高いからといって、必ずしもそれが一番良い石とは限りません。
価格は、石そのものの品質だけでなく、採れる量の少なさ(希少価値)や、加工のしやすさによっても大きく変わるからです。
予算内で、家族みんなが「この石いいね」と納得できる石を見つけることが、何より大切だと私も思います。
同じ石名でも品質に差があるって本当?
これは注意が必要なポイントです。
例えば同じ「大島石」という名前でも、採掘された場所や時期によって、石の目の細かさや色合いに等級(ランク)があるんです。
中には、質の低い石や、よく似た外国産の石を「大島石」として安く販売する業者もいると聞きます。
産地証明書などをきちんと提示してくれる、誠実な石材店を選ぶことが重要ですね。
見積もりのチェックポイントと交渉のコツ
石材店から見積もりをもらったら、以下の点を確認しましょう。
- 石の名前と産地が明記されているか
- 石の使用量が書かれているか
- 「工事費一式」ではなく、内訳が分かるか
- 保証の有無や期間はどうか
複数の石材店から相見積もりを取ることで、価格や内容が適正かどうかを判断しやすくなります。
家族で話し合いたい「石選び」の視点
石選びは、お墓を建てる上でとても楽しいプロセスの一つです。
ぜひ、ご家族で話し合う時間を持ってくださいね。
故人の好み・家族の価値観をどう反映するか
「お父さんは、明るい色が好きだったから白っぽい石がいいかな」
「お母さんは、華やかな人だったから少しピンクがかった石も似合うかも」
そんな風に、故人様を想いながら石を選ぶ時間は、とても尊いものだと思います。
将来的なお墓の管理も見越した石選び
お墓は建てて終わりではありません。
誰が、どのように管理していくのかも考えておきたいですね。
例えば、汚れが目立ちにくい色や、ツルツルしていて拭き掃除がしやすい石を選ぶ、というのも一つの視点です。
見た目だけじゃない、“心”に合う石を
最終的に大切なのは、その石を前にしたときに、心が落ち着くかどうかだと私は考えています。
カタログや小さなサンプルだけで決めずに、ぜひ実際に建てられたお墓を見学してみてください。
太陽の光の下で見る石の色は、室内とは全く違って見えます。
「あ、この石、なんだかいいね」
そんな直感を大切にするのも、後悔しない石選びのコツですよ。
まとめ
御影石選びの世界、いかがでしたでしょうか。
最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしますね。
- お墓の石は「硬さ」「吸水率」「見た目」で選ぶのが基本。
- 国産には品質の高さと安心感、外国産には価格の手頃さと多様な色合いという魅力がある。
- 「高い石=良い石」ではなく、家族が納得できるかどうかが一番大切。
- 同じ名前の石でも品質に差があるため、信頼できる石材店選びが重要。
御影石選びに、たった一つの「正解」はありません。
大切なのは、ご家族が「この石にして良かったね」と心から思える「納得感」です。
実際に石を見て、触れて、そして専門家の話を聞くことで、きっとご家族にぴったりの石が見つかるはずです。
私も最初は何も分からなかったからこそ、その不安な気持ちがよく分かります。
例えば、お住まいの地域で長く続いている石材店さんは、知識も経験も豊富で安心感がありますよね。
熊本市周辺でお探しなら、創業120年以上の歴史を持つ熊本のお墓・墓石専門店|創業120年の田尻石材工業さんのような、地域に根ざした専門業者に話を聞いてみるのも一つの方法です。
一人で悩まず、まずは信頼できる石材店や、私のような終活アドバイザーに気軽に相談してみてくださいね。