お墓選びに失敗しないために、知っておきたいリアルな体験談。
そう言われても、何が失敗で、どうすれば成功なのか、なかなかわからないものですよね。
こんにちは、終活アドバイザーの田中美智子です。
実は何を隠そう、私自身が義父のお墓選びで大きな失敗を経験した一人なんです。
あの時の後悔と反省が、今の私の活動の原点になっています。
この記事では、私が実際に体験したお墓選びの失敗談と、そこから学んだ「知っていれば避けられた後悔」を、包み隠さずお話ししたいと思います。
目次
義父のお墓選びで何が起きたのか
突然の訃報と時間のない決断
義父が亡くなったのは、本当に突然のことでした。
悲しみに暮れる間もなく、葬儀の準備と並行してお墓のことを決めなければなりませんでした。
もちろん、生前にそんな話は一切していません。
何から手をつけていいのか、誰に相談すればいいのか、家族全員が途方に暮れていました。
石材店での営業トークに圧倒されて
とりあえず、葬儀社から紹介された石材店へ足を運びました。
そこで待っていたのは、ベテラン営業マンの巧みなセールストークでした。
「故人様のために、立派なものをご用意しませんか」
「この石は耐久性が高く、末代まで安心ですよ」
専門用語を並べられ、次々と高価な墓石を勧められるうちに、私たちは「これが普通なのかな」「安すぎるのは故人に申し訳ない」という気持ちにさせられてしまったんです。
家族内の意見の食い違いと調整の難しさ
夫は「親父のために一番良いものを」と言い、義母は「そんなにお金をかけなくても…」と心配する。
私はその間で、どう調整すればいいのか分からなくなってしまいました。
時間的な焦りもあり、冷静な話し合いができないまま、ただただ雰囲気に流されていきました。
「高い=良いお墓」と思い込んでいた過去
結局、私たちは相場もよく知らないまま、かなり高額な墓石を契約する寸前までいってしまいました。
幸い、親戚の一言で踏みとどまることができましたが、あのまま契約していたら…と今でも肝が冷えます。
この時、「高いお墓が良いお墓」というわけでは決してないという、当たり前の事実に気づかされたのです。
私が感じたお墓選びの落とし穴
私の失敗経験から見えてきた、お墓選びの「落とし穴」は、主に以下の4つでした。
今思えば、どれも少し気をつければ避けられたことばかりです。
情報不足のまま進む怖さ
何が標準で、何がオプションなのか。
どんな種類があって、費用はどれくらいかかるのか。
基本的な知識がないまま専門家の話を聞くと、言われるがままになってしまう危険があります。
費用感と価格の見えにくさ
お墓の価格は、墓石代だけでなく、永代使用料や工事費、管理費など、様々な要素で構成されています。
総額でいくらかかるのか、内訳はどうなっているのかが非常に分かりにくい構造になっているんです。
見学しなかったことによる「イメージのズレ」
パンフレットや写真だけでは、霊園の雰囲気や日当たり、水はけ、周辺環境までは分かりません。
「実際に足を運んでみたら、想像と全然違った」ということは、本当によくある話です。
継承・維持管理まで考えていなかった反省点
お墓は建てて終わりではありません。
誰が継いでいくのか、毎年の管理費は誰が払うのか。
将来的なことまで考えておかないと、残された家族が困ることになってしまいます。
失敗から学んだ「後悔しないお墓選び」のポイント
あの時の苦い経験があったからこそ、今、皆さんにお伝えできることがあります。
後悔しないお墓選びのために、ぜひ押さえてほしい5つのポイントです。
1. まずは“自分たちに合った供養の形”を考える
立派な一般墓だけが選択肢ではありません。
樹木葬や納骨堂、永代供養墓など、今は様々な形があります。
故人の遺志はもちろん、自分たちのライフスタイルや価値観に合った形は何かを考えるのが第一歩です。
2. 石材店は複数社で比較&見積もりをとる
これは鉄則です。
必ず2〜3社以上の石材店から話を聞き、相見積もりを取りましょう。
価格だけでなく、担当者の人柄や説明の分かりやすさ、提案内容を比較することで、信頼できるパートナーを見つけることができます。
3. 現地見学で“家族の目で”確認する
面倒でも、必ず現地には足を運んでください。
お参りのしやすさ(アクセスや坂道の有無)、日当たり、管理事務所の対応、全体の清潔感など、行ってみないと分からないことがたくさんあります。
ご家族みんなで確認するのが理想ですね。
4. 家族で話し合う時間を持つ
焦りは禁物です。
誰が、どこで、どのように供養したいのか。
費用は誰がどれくらい負担するのか。
感情的にならず、お互いの意見を尊重しながら、じっくりと話し合う時間を持つことが何よりも大切です。
5. 予算・立地・将来性を含めた総合判断が必要
費用、場所、デザイン、そして将来の維持管理。
どれか一つだけで決めるのではなく、これらの要素を総合的に見て判断することが、後悔しないための鍵となります。
実際に役立った見学&相談の体験談
霊園100か所以上を回って分かったこと
義父の一件以来、私は終活アドバイザーとして関東圏の霊園や墓地を100箇所以上、自分の足で見て回りました。
そこで分かったのは、それぞれに全く違う個性があるということです。
「安いけど管理が不安な霊園」と「高いけど安心な寺院墓地」
例えば、価格が安い民営霊園の中には、スタッフが常駐していなかったり、共有スペースの清掃が行き届いていなかったりする場所もありました。
一方で、費用は高めでも、お寺の住職が手厚く供養してくれ、法要の相談もしやすい寺院墓地の安心感も知りました。
どちらが良い悪いではなく、自分たちが何を重視するかで選ぶべきだと痛感しました。
相談者の声:「親の希望を聞いておけばよかった」
先日、ご相談に来られた50代の女性が、こんなことをおっしゃっていました。
「父が亡くなってから、慌ててお墓を探しました。でも、母と私で意見が合わなくて…。生前に父がどんなお墓に入りたいか、一言でも聞いておけば、こんなに悩まなかったのにと後悔しています」
この言葉は、本当に重く響きました。
セミナーでよくある質問とその回答
私が開催するセミナーでは、「お墓の引っ越し(改葬)はできますか?」という質問をよく受けます。
答えはもちろん「できます」。
ですが、手続きは煩雑で費用もかかります。
だからこそ、最初に選ぶ時が本当に肝心なんです。
初めてのお墓選びに迷う方へ〜私からのアドバイス〜
「分からないことを恥ずかしがらないで」
お墓選びなんて、分からなくて当たり前なんです。
私も最初はそうでした。
知らないことを恥ずかしがらず、どんどん質問してください。
それが後悔しないための第一歩です。
「“今すぐ”でなくても、考え始めるだけで違います」
「まだ元気だから、終活なんて早い」
そう思っている方も多いかもしれません。
でも、元気なうちにこそ、冷静な判断ができます。
すぐに決める必要はありません。
まずは情報収集をしたり、家族と話したり、考え始めるだけで、いざという時の安心感が全く違います。
「選ぶ力は、知ることで身につきます」
価格、種類、場所、法律…。
知れば知るほど、選択肢が見えてきます。
そして、自分たちにとって何がベストなのかを判断する「選ぶ力」が身についていくのです。
まとめ
義父のお墓選びを通して、私はたくさんのことを学びました。
一番大きな気づきは、お墓選びは単なる“モノ選び”ではなく、故人との向き合い方、そして残された家族の“生き方の選択”だということです。
- 突然のことで焦って決めてしまった後悔
- 情報不足で言われるがままになりかけた経験
- 家族で話し合うことの大切さ
- 現地を見ることの重要性
この記事が、今まさにお墓選びで悩んでいる方、これから考えようとしている方にとって、少しでもお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。
もし迷ったら、一人で悩まず、ぜひ専門家や経験者に相談してみてくださいね。